2025.12.16公開
KAMI-1 グランプリ 2025
本作は、異なる世界観をもつふたりの女性が、街の風景とともにヘアスタイルを変化させていく作品です。
冒頭では、黒髪の女性はモードなストレートヘア、
ブロンドの女性はポップでカジュアルなブロンドの巻き髪ヘア。
それぞれの文化に根ざしたスタイルから物語が始まります。
「何かを変えたい」——そんな小さな感情をきっかけに、
ふたりは美容室で“運命的な出会い”を果たします。
互いのスタイルに惹かれ、少しずつ変化していく姿を、
ヘアセットの手元や髪の動き、服装のディテールを通して描きました。
やがて、黒髪の女性は巻き髪ヘアに、
ブロンドの女性はストレートヘアに変わっていきます。
舞台も、日本らしい商店街と海外テイストの街並みを対比させることで、
文化とスタイルが交わり、境界が溶けていく瞬間を映像として表現しています。
髪は、その人の国の文化や価値観を映し出す鏡。
そして、時にその人の“アイデンティティ”を語るものだと思っています。
けれど、SNSが発達した今、
私たちは「他人からどう見られるか」「どんな反応を得られるか」といった評価の基準の中で髪型を選ぶようになり、
“知らない自分”に出会うきっかけを失いつつある気がします。
本作では、文化が違う2人対照的な街を舞台に、
“整えることで生まれる和の美”と、“崩すことで輝く洋の美”を表現し、
そのスタイルを交換しました。
それは、文化や国、そして“自分らしさ”という枠を超えて、
もっと自由に、美を更新していくための試みです。
“自分らしさ”という言葉を、もっとしなやかに、もっと自由に。
髪を変えることは、新しい自分に出会う小さなきっかけになる——
そう信じています。