KAMISMA ONE

縦型 analog〜触覚の余白〜

2025.09.04公開

石川元

令和という時代は、SNSを通じて簡単に情報が手に入る、非常に便利な時代です。
でも、その便利さの中で、ふと「それって本当にオリジナルなのかな」と感じることがあります。

僕の師匠はよくこう言っていました。
「情報は、自分の五感で体験し、そこからデザインを考える癖をつけろ」 と。

時が経ち、トップスタイリストとして仕事をする今、
その言葉の意味と深さを、以前よりずっと強く実感しています。

そして今も、師匠の教えを胸に、五感を使って感じたものをカタチにする。
そんな習慣を大切にしています。

今回の作品は、僕が今なお続けているその“行動”を、デザインとして表現したものです

今回のテーマは、「もしスマホがこの世から消えたら」。

このイメージから、「人はどのようにして情報を得るのか?」という問いを、自分なりに表現してみました。

音楽を聴く、雑誌を読む、人と会う。
情報は「行動」を通して手に入れるものになります。
その場所に足を運び、モノを買い、人に会う――
そこには必ず“体験”が伴います。

そして、僕たちが手にするモノのすべてにはデザインが存在し、
そのデザインは、人が情報に「触れ」それを「体験」することで
さらに豊かになるために生まれているのではないかと思うんです。

そんな「体験ベースのインスピレーション」から、
今回は3つの時代背景を軸にイメージを構成しました。
• 80年代ディスコ
• 90年代 BEAMS・ストリートファッション
• 2000年代 原宿ビビアンストリート

どれも、スマホがなかった時代。
自分の目で見て、耳で聴き、身体で感じて得た情報から生まれた文化やスタイルです。

ヘアデザインも同じ。
「体験」して、考えて、行動する中で新しいデザインは生まれる。
情報が溢れる今だからこそ、あえて“逆行する”ようなアプローチもアリなんじゃないか。
そんな思いを込めて、今回の作品をつくりました。