2025.12.16公開
今、多くの人は仕事を終えるとすぐ家に帰り、練習もせず、ただSNSや動画を眺めながら時間を過ごしてしまう。
情報はすぐ手に入り、理解したつもりになることができる時代です。
だけど、美容師やデザイナー、アーティストにとって本当に大切なのは、
与えられた情報ではなく、自ら取りにいく情報だと思っています。
実際に触れ、見て、聴いて、体験して、五感のすべてで世界を受けとめること。
「もっと知りたい」「もっとやりたい」「ここに行ってみたい」
そんな小さな探究心の積み重ねが、自分らしい“デザインの核”を育てていく。
AIによって効率が加速する令和時代だからこそ、
子供のように、無邪気に、柔らかい感性で世界を見ることが必要だと感じています。
好奇心を持ち、自由に挑戦できる心を手放さないこと。
もちろん、探求には努力が必要です。
挫折や葛藤、迷いや誘惑が降りかかることもある。
でも、それを乗り越えた先にだけ見える景色がある。
自分が誇れる“かっこいいヘアデザイナー”になっている。
”タスク”ではなくて、「なぜ?」という問いから生まれた発想です。
アナログで世界と向き合い、自分の感覚で受けとめ、それを形にする。
その過程こそが、デザインを生かすのだと、僕は信じています。
この作品は、「五感で感じ、デザインする」というアナログな表現の原点に立ち返った映像です。
子供の頃、雲を動物に見立てたり、思うままに色を塗ったりしていた“自由な感性”。
大人になるにつれ忘れてしまいがちな、その純粋な表現の楽しさを取り戻すことをテーマにしました。
森では自然の息づかいや生命力を、サーフシーンでは非日常から生まれるインスピレーションを表現。
日常には草木をかきわけるように、壁や困難もあるけれど、それらを越えた先にこそ、自分だけの景色とデザインが立ち現れる。
手で触れ、足で感じ、海に潜り、全身で世界と対話する。
そんな “身体で得た情報をデザインに落とし込むこと” を大切にしています。
どれだけ未来が進化しても、アナログな感性は決して失われてはいけない。
この作品には、その想いを込めました。